消費税の経理処理方法は、「税込方式」と「税抜方式」の二種類があります。
税込方式とは、売上、仕入に際し、これに含まれる消費税額を区分しないでその合計額をもって経理する方式であるのに対し、税抜方式は、消費税額をその対象となった売上や仕入の金額と区分して経理し仮受消費税・仮払消費税として処理する方法です。
例えば、商品を1,050円で仕入れ、その商品を1,575円で売ったときは、
税込方式・・・仕入1,050円、売上1,575円
税抜方式・・・仕入1,000円・仮払消費税50円、売上1,500円・仮受消費税75円となり、
これらをまとめると下図のようになります。
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税込 |
税抜 |
売上 |
1,575 |
1,500 |
仕入 |
1,050 |
1,000 |
利益 |
525 |
500 |
採用方式の違いにより、25円の違いが生じ基本的には「税抜方式」が有利ということになります。しかし、法人税の計算で確定消費税を未払金経理する(実際の納税は翌期)ことにより経費(損金)計上が認められていますので、結果的には「税込」でも「税抜」でも同じ結果が得られることになります。
しかし、場合によっては法人税・消費税を総合して考えると「税抜方式」が有利ということになりますので注意が必要です。
例えば、法人税の取り扱いで10万円未満の消耗品は経費(損金)として扱えるという規定がありますが、本体価格98,000円・別途消費税4,900円のパソコンを購入した場合では、
税込方式・・・資産102,900円
税抜方式・・・経費98,000円、仮払消費税4,900円
となります。
(注)30万円未満の減価償却資産の特例は適用しないものを前提としています
また、年間630万円(消費税含む)の交際を要した場合では、法人税の計算上600万円未満は10%課税、超は全額課税となりますので
税込方式・・・600万円×10%+30万円=90万円
税抜方式・・・600万円×10%=60万円
となり、課税の対象として30万円の差額が生じてきます。
したがって、どちらの方式を採用するかによって、法人税の計算上、判定につき有利・不利が生じる結果となります。
また、消費税が上がれば(増税)自ずとその差(有利・不利)が大きくなりますので、採用にあたっては注意が必要です。